2017年7月9日 朝日新聞 声の欄 「母の財産管理 監督人に14万円とは」を読んで。

 

 Hさん(女性64才)は、母(87才)の判断能力が著しく不十分であるので、成年後見制度に沿って、保佐人になっている。保佐人として、母の預金と年金収入について、月々支出報告書を裁判所に提出している。この作業は無償で行っている。するとある時、裁判所から、監督人をつけるよう通達され、希望しないと連絡したにもかかわらず、裁判所から司法書士を選任したと通知があった。その司法書士と電話で数回、1度面会したところ、その司法書士から年次報酬14万円を支払ってほしいと請求された。14万円は、母の年金額の2ケ月分である。不要といったのに、まるで強引な押し売りのようだと、言われているのである。

 私はごもっともな、主張と思う。これは、家庭裁判所の説明不足と言わざるを得ない。即ち、Hさんは、監督人の目的や必要性を、十分に理解されていないのである。

 それでは必要性とは何か?、後見人が、お母さんの財産を適切に守り、運用・利用されているかをチェックするためである。本来、この監督は裁判所が行う作業であるが、種々の理由で、弁護士や司法書士に委託している。弁護士や司法書士が監督の作業をすると有償である。本ケースでは14万円の費用となっていると、説明すべきである。まあ、これくらいは裁判所も説明したであろう。何が足りないのか、追加説明する内容はないのか?

  私ならば、次のように補足説明をする。まず、お母さんは自分の財産を自分でまもっているのです。そのために、14万円のおかねを支払っているのです。お母さんの年金は、Hさんのものではありません。あくまで

お母さんのものです。なぜお母さんはそのようにしなければならないのか、必要性を2点ほど述べます。

 第1点は、お母さんの資産・財産の不当流用及び売却防止のためです。お母さんの後見人が孫やひ孫世代になると、金欲しさに、お母さんのお金を黙って流用したり、田畑を安くたたき売ったりすることがあります。この不当な乱行行為を監視及び防止するために、後見人の監督人をつけることになったわけです。

 第2点は、Hさんあなた自身のためでもあります。お母さんが他界され、遺産を相続する時点に必要となります。遺産相続する際、お母さんの遺産を洗い出すことになります。ここでよくある小説話ですが、遺産の

額が少ない、もっとあるはずだ。誰か使い込んではいないのかと、相続人の間で疑心暗鬼になります。まず、使い込んだ該当者は、お母さんの世話をしてお金の管理をした後見人Hさん、あなたが一番に疑われることになります。この際、第三者の証人が、後見人の監督人であるわけです。Hさん、納得いただけたでしょうか?

 いや、遺産相続人は私だけです。相続でもめることもありません。だから監督人は不必要です。

 ごもっともです。

 それなら最後に一言程、言わせていただきます。お母さんは、子孫に相続させる十分な資産をお持ちです。 その少しでも、世のために回してはもらえないものでしょうか?お金は天下のまわりものです。

                                    2017.07.20 記載

 追加投稿

 2017年7月22日 朝日新聞 声の欄 「成年後見 悪用防止よりも・・・」を読んで。

 投稿者Iさん(女性73才)は、76才夫の成年後見人を15年している。昨年、家庭裁判所から電話で夫の預金を今の預け先から、信託銀行に預け替えるように言われた。その際は司法書士か弁護士に依頼しなければならず手数料もかかるそう。仕組みが良くわかりませんので受け入れられませんと断りした。どのようにすれば、よいのやら? 成年後見人制度は見直しのたびに、人を困らせるようになっているように思う。

 これまた、ごもっとも。

 本投稿を読んで、私も、後見制度支援信託について調べてみました。私は、ケアマネージャー受験時に

成年後見人制度は勉強したが、まだ後見人の監督人、後見制度支援信託については、勉強するべき重点項目にはなかった。これはすべて、私の勉強不足である。

 後見人は、被後見人の財産管理(特にお金)の妥当性を証明するため、監督人を選ぶか、それとも信託銀行に、被後見人のお金を預けるかの手続きをしなければならないらしい。よって前記の監督人と、信託銀行への預け替えすることは、後見人の悪行防止対策の選択項目であることがわかった。私にも、なぜ信託銀行に預け替えしなければならないのか、十分にわからない。 信託銀行にする理由(1000万円以上が対象となる。元金保証のためかな?)を、調べてみたい。 今後、本件は運用の厳しさが、徐々にクローズアップされていくことであろう。注視すべき事項である。                 2017.07.22 記載