介護技能実習生試験(意味は中国人技術留学生の介護初級試験である)

 

 2023年3月中旬のある日、職場に出勤すると、中国人技術留学生がレポートを一生懸命に日本語で読んでいる。私は朝早くから何をしているのか知りたくなった。尋ねると午前中に試験があるというので、レポートを見せてもらった。中味は自己紹介文であった。全てを日本語のひらがなで書いてある。試験面談用のレポートとわかった。レポートには初級試験用と記載されていた。初級試験とは初めて聞くものである。ホームヘルパーや介護福祉士の試験準備ではないようだ。技術留学生になぜ必要な試験かわからなかった。施設内の地域交流室等の特別室で、面談と簡単な学科及び実技試験を受けるものと思った。そこで私は、留学生2人へ気楽にいけや(マーマーフーフー、馬馬虎虎、まあまあ)といった。ところがである。

 私が職場でベッドメーキングをしていたら、技術留学生が介護職場にきて、実際の入居者(認知症、要介護者)を相手に、介護実技試験を始めた。この実技試験に私はびっくりした。介護福祉士の介護実技試験でも、試験官(健康者)を相手にするのである。技術留学生の職場で試験するとは想定もしなかった。試験官は、入居者の部屋に入らず、通路で全体を眺めていた。私は試験官の姿勢を見て、介護職場の環境や他介護職員の介護作業状況を見ているのではと邪推した。

 

 後日、私は技術留学生の介護初級試験を調べてみた。 次の項目が試験の目的だった。

1、技能実習は技能などの適正な修得、習熟又は熟達のために整備され、かつ、技能実習生が技能実習に専念できるようにその保護体制が確立されている環境で行わなければならない。

2、技能実習は労働力の需給の調整の手段として行われてはならないこと。

 

 はたして、技術留学生が不当な職場で、不当な作業をさせられていないか、従事している介護施設の作業環境、従業員の対応等を試験官は監察していたのである。くわばら、くわばらの介護初級試験であった。試験後、2人の留学生に受験状況を聴いたら、合格だったと返答した。施設責任者から留学生の対処に関して、新たな指示はなかった。先ずは、よかった、よかったである。     起稿     2023.04.29