第3章 介護 (その2:風呂)
つぶやき話のテーマ1: 小物入れ
「風呂に入る時には小物をはずす。眼鏡、腕時計、補聴器等である。
これらの小物を保管する入れ物が脱衣所には必要である。 」
入所者の中には、いつも眼鏡をかけたり、腕時計をされている方がおられる。これらの方々で、
認知症の場合、ほとんどの行動が自立している。風呂へ入られる時に、自分で眼鏡や腕時計を
はずされる。その品物の保管場所等が問題となる。脱衣所の脱衣籠(着替え衣類入れ)に、置か
れると良いのだが。無くなると心配されてまず籠に置かれることはない。それではどこに置かれ
るか?ほとんど脱衣したズボンのポケットにしまい込むのである。この脱衣した服等は、すぐに
洗濯室へ運ばれ洗濯されるのである。洗う前にズボンのポケット内をチェックするのだが。補聴
器等が水洗いされている光景を想像してほしい。まず一回の洗濯で補聴器はだめになる。
洗濯の項目は別の機会にして、話を風呂場に戻す。
脱衣して風呂場で汗を流して、十分に温まって上がってこられる。着替えの服を着終わって、
いざ、脱衣所をでる段になって、補聴器をつけていないことに気付かれる。「補聴器がない」、
「補聴器がない」と大騒ぎになる。風呂に入る前に、補聴器をどこにしまわれたか、記憶されて
いれば良いのだが。ほとんどの場合、本人はしまわれた場所を忘れられている。風呂に行く前、
部屋ではずした、それとも脱衣所で、はずしたか定かでないのである。
入浴の際に小物の置き場所を忘れないように、脱衣所に小物入れを準備しておく。入所者は
財布を手持ちしていない。眼鏡が保管できる大きさの容器であればよい。100円ショップで、
簡単に購入できる。個人ごとに容器を割り当て、小物保管に利用する。脱衣は自立していても、
小物の取り外しには、必ず介護職員が一部介助のようにかかわりを持つ。腕時計等は小物入れ
にしまうことを、両人で声掛けしながら確認するのである。この動作確認により、脱衣所に何の
小物を持ち込まれたかを把握しておくのである。脱衣所に持ち込んでいない小物がないと騒が
れても、小物入れに残っていなかったら、別の場所に置いてるのではと返答できる。小物容器は
一度に2~3人の保管であり、小物に名前がなくても、取扱いを間違うことは少ないであろう。
つぶやき話のテーマ2: 着脱更衣
「風呂介助の大きな項目に着脱更衣がある。着脱更衣の相言葉は脱健着患が先。
脱衣は健康部から脱がせ、次に患部へ。着衣は患部から健康部分の順番で行う」
風呂に入るには脱衣しなければならない。脱衣の一部介助する時には、手足の脱がせ順序に
留意しなければならない。丸首で長袖の上肌着を脱ぐとしよう。両手に支障がなければ、両手を
挙げた万歳の状態で、簡単に脱ぐことができる。片手に支障があると、上肌着の袖を抜く順序は、
手が動く健康な方から袖を抜く。その後、支障のある患部の袖を抜くのである。着衣の場合は、
先に支障のある患部の袖を通し、その後健康な方の袖を通すのである。この動作を間違わない
ように、「脱健着患が先」を相言葉のように覚えているのである。両手ともに支障がある場合は、
何とか動く首の部分から脱ぎ、次に両手を脱ぐことになるであろう。着衣は両手から首、胴体と
なろう。これにはかなり無理な部分があるので前開きの上肌着にする方が良いであろう。椅子に
座りながら脱着更衣するので、ズボン類は脱健着患を基本としながらも、順番を誤っても何とか
対処できる。
着衣介助で大変な作業は、生理用品をあてることである。これは排泄介助と同一である。
トイレは起上り及び、立位の支え棒が個々に取り付けてある。脱衣所は立位の支え棒が少ない
ので、生理用品をあてる作業で手間取ることになる。
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つぶやき話のテーマ3: 座浴椅子はトイレか?
「座浴とは、肘当て、コロ付きの専用椅子に座って、湯船に浸るものである。
専用椅子の座板は切込みがあり、座ったまま肛門等が洗えるようになっている」
座った姿勢を保てるが、自力では歩いて風呂に入れない人は、コロ付きの座椅子を利用して、
入浴する。これを座浴(通称)と言っている。座浴用の椅子の座板は切込みがあり、座ったまま
肛門等が洗えるようになっている。おしりを洗うに便利な切込みを利用すると思わぬことになる。
椅子に座った状態で、温かいお湯を肛門にかけて洗うと、便意を催すことになり排便されること
がある。ちょうど洋式トイレに座って排便している状態になるのである。椅子座板の切込み部分
では、陰部や肛門付近のみしか洗えない。おしり全体を十分に洗うには、入浴者には立位に
なっていただく方が良い。入浴者一人で立位を保ってもらったり、介護職員が立位支援をする
場合がある。立位であると肛門を洗っても、ほとんど排便されることはない。
一方、座椅子の切込み部分の利便性を活用する場合がある。それは便秘気味な人に対して、
浣腸等を使用して、排便・摘便させる時である。摘便は介護職員で処置できないので、看護師
が対応する。摘便がすみ、おなかがすっきりした状態は気分も爽快である。さあ次は入浴だ。
つぶやき話のテーマ4: 寝台浴のベッドはトイレか?
「寝台浴とは、専用ベットに横たわりながら、湯船に浸るものである。専用ベッドは
身体を洗う時、湯船の横にある。浸る時は湯船真上にスライドして湯船へ降ろしていく」
座浴・寝台浴される方々は、手や足に支障がある。そのため歩いたり、体を十分に動かしたり
しないので、運動量が不足ぎみである。運動量が少ないと便秘にもなりやすい。それで座浴・
寝台浴の時に、摘便をすることが多い。それでは寝台浴ベッドでの摘便の状況を書いてみる。
便秘気味な人は、寝台浴の専用ベットで仰向けになってもらい、浣腸等を使用して排便・摘便
してもらうのである。当然、看護師が対応する。スタイルが座っているか、寝ているかの違いだけ
である。摘便がすみ、おなかがすっきりした状態は気分も爽快である。いよいよ入浴だ。
つぶやき話のテーマ5: 足浴と足湯の違い
「足浴(そくよく)と足湯(あしゆ)の違いは? 見た目は同じ。
読み方が違う。さらに足を入浴させる目的が違う。 」
40度程の湯を風呂桶やバケツに満たし足をお湯につけている。気持ちよさそうである。この
光景だけでは足浴か足湯かの区別はつかない。これ以降の行動によって区別が明らかになる。
足湯は治療行為である。足をお湯であっためて、血行を良くしようとするものである。お湯には
バスクリーン等の入浴剤を入れて、温泉の香りを楽しめるようにしている。足湯は、うっ血で足が
脹れている人に行っている。特に、冬場は15分程度の足湯であるが、居眠りをされる等して
喜んでもらえる。足湯が済めば、軟膏やオイル類をぬって処置は完了である。お湯の温度は、
38度のぬるめな湯を好む人と、40度の熱めを好む人等さまざまである。今は電化製品で温度を
設定、保持できる足湯器具がある。当該製品を大いに利用している。
足浴は専門用語で言えば清拭(せいしき)の一つである。簡単に言えば、清潔にするために、
足を洗うことである。ぬるま湯で足を温めた後、石鹸等を利用して汚れを取り除くことである。
洗い終わればオイル類をぬって処置は完了である。
足湯することを足浴と言う人が多い。目的に違いがあるので、言い方を留意したいものである。
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つぶやき話のテーマ6: シャワー浴は指がものをいう
「身体的な事情により湯船に入れない場合がある。
この時、シャワーで身体を洗うだけですませるのである。」
胴体や脚等に外傷があると、その部分の防水養生が十分にしにくいので、入浴時は湯船には
入れられない。この場合はシャワーで身体を洗って、お湯をかけ流しして入浴をすませるので
ある。このような入浴をシャワー浴と通称している。
このシャワー浴で注意することはお湯の温度調整である。同時に幾つものシャワーを利用する
と、給湯設備の温度自動調整機能が追従できず、お湯の温度が変化することがある。温度が
低くなることは仕方ないが、急に温度が上がることは入浴者の身体に火傷をさせる危険性がある。
このため入浴介助でシャワーを使用している時は、お湯の温度管理は機械任せにせず、介護
職員自身が常時お湯の温度を検知しておかねばならない。そこで職員はシャワー出口の取手を
持ちながら、人指ゆびをのばしてシャワー温水にあてている。これでシャワー温水の温度を常時
自己検知しているのである。自分の指が熱く感じれば、シャワー温水を入浴者にかけなければ
よい。片手でシャワーをコントロールしながら、他方の手で入浴者の身体を洗うのである。
(追記)某介護施設では、介護職員が手肌荒れ防止のため、ビニール手袋を着用していた。
そのため湯船の温度を手で適温と誤判断した。湯船の温度は高温であり利用者に
やけどを負わせる事故が発生した。お湯の温度は素手で検知することと、2016年
9月14日、ここに記載しておく。
つぶやき話のテーマ7: 個人浴はゆったりと
「個人浴は一人風呂のことである。家庭風呂に入った気分である。
介護職員が掛かりつけで、入浴介助をするものである。 」
介護施設で多床棟(相部屋)に入所者されている方々は、銭湯様式の風呂で入浴される。一方
個室入所者は、家庭様式の風呂で個人浴される。この入浴サービスの差異は、当然料金の差で
ある。個人浴は入浴の見守り及び入浴介助を、介護職員が掛かりつけで行う。更衣着脱、衣類
の洗濯、乾燥も行う。入浴者は風呂にはいり家庭気分を満喫できるものと思う。主に朝風呂で
ある。これで風呂上りにビールでも飲めれば最高である。(介護施設ではアルコール類を飲めま
せん) お茶で我慢してください。朝寝、朝酒、朝湯ができたのは、小原庄助さんだけでした。
10年後にはなっていないだろうか?このように。夕方に個人浴して、個室でテレビをみながら、
晩酌をして夕食する。眠たくなったら、ベッドにもぐりこみ、朝までおやすみだ。
つぶやき話のテーマ8: 清拭(せいしき)
「清拭は風呂に入れない人に対して、お湯で体をふくことである。
身体、頭(髪)、手足、陰部等の洗い方に注意事項がある。 」
清拭とは言わずに濡れタオルで体を拭くと言う方が一般的にはわかりやすい。使用するお湯の
温度は、かなり高めの60度程度である。理髪点で髭をそる場合、タオルで皮膚や髭を蒸らす時の
温度程度と思えばよいのであろう。体を拭く順序は、手や腕、足や膝等の抹消から、胴体等の
中枢に向かっていくのである。特に女性の陰部清拭は手順が定められている。大陰口を開き、
陰部から肛門部に向かって拭く。この逆をすると、ばい菌による感染症等の危険性がある。この
手順は排泄介助時の陰部洗浄と同様である。
ベッド上での洗髪は、前準備として、頭部の下に防水シートを敷き、シートの周囲にタオルの
堤を作って行う。これは資格取得のための講習会で研修しただけで、以後、現場で実践したこと
はない。寝台浴のベッド上では防水シート等は不要である。入浴者の顔にシャンプーやシャワー
の温水がかからないように注意しながら洗髪する。洗髪時、シャワー温水を十分に利用できる
ことは、うれしいことである。
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第3章 介護 (その3:排泄)
つぶやき話のテーマ1: おむつ交換
「おむつ交換の場所は、ほとんどがトイレやベッド上である。
ベッド上の時が中腰作業になり一番腰に負荷がかかるものである」
排泄介助はトイレへの移動、トイレでの起き座り、下着類の上げ下げ、陰部洗浄、おむつ交換
等である。排泄に関しては看護面から、排便量や色、出血等の異常はないかチェックしている。
今回は健康や看護面からのテーマは除き、おむつ交換作業に絞って記載する。
まず、おむつは失禁や漏便の恐れありの人がつけている。漏便は便秘気味の人が下剤を服用
している時に発生する。下剤を服用していても便意を感じ取れる人は、トイレへ駆け込むので、
トイレで排便となる。しかし、おむつ内で十分に排便を行える人がいる。この場合のおむつ交換
が大変である。該当人はズボンをはき、おむつとしては紙パンツ形式を利用しているとする。
漏便が発生すると、該当人の周辺に、便の芳しい臭いが漂っている。臭いで該当人をキャッチ
してトイレへ誘導する。ズボンを下しおむつを取り外すのである。このおむつを取り外すのには
要領がある。下剤で排便された便は泥汁状で、尿とりパッドやおむつ内にたっぷり充満している。
泥汁便が前、横、下にしたたり落ちないように、おしりからおむつを取り外さなければならない。
もし失敗したら便で下げたズボン類を汚すことになる。汚せばズボンまで交換だ。無事におむつ
を取り外した。次に尻ふきだ。肛門だけではすまない。泥汁便でおしり一面が汚れている。特に
陰部まで便で汚れているが、何とか拭き終わった。やっと尿とりパッド、紙パンツをあててズボン
をはいて終了だ。
次はベッド上でのおむつ交換だ。トイレで排便できない方がベッド上でのおむつ交換となる。
これらの方々は、通常パジャマズボンをはかれるので、大きめの紙おむつを利用する。定期的な
体位交換とあわせて、必要であればおむつも交換する。バナナ1本の形状で排便されていれば
おむつ交換は簡単である。ところが下剤を服薬され、泥汁便の状態で排便されていれば大変だ。
陰部や肛門を洗浄するのに、濡れ布巾類で対処できればラッキーである。温水を利用しないで
対処するのである。おしりをきれいに拭き、紙おむつをつけて終わりである。
おむつ交換作業を説明したが、本テーマの中心的な内容はこれからである。トイレでおむつ
交換の作業をする場合、介護職員の体勢は、完全に座り込むか、立位の状態である。それで
作業時間が長くなっても、腰を痛めることは少ない。問題はベッド上でおむつ交換作業をする
場合である。通常ベッドの寝台マットは、足の膝から太腿までの高さにセットされている。
この高さで寝そべっている要介護者のおむつを取り替えるのである。介護職員の体勢は四股を
ふむような脚で、腰から上は要介護者にかぶさるような状態となる。このような中腰姿勢で、
おむつ交換をするのである。このような中腰姿勢を長い時間保持するのは、かなりきつい作業
である。中腰姿勢を補強するため、ほとんどの介護職員は腰ベルトやコルセットを締めている。
中腰作業にならないような対策として、ベッドの寝台マットの高さを調節しなければならない。
つぶやき話のテーマ2: のの字
「排便時に腹をのの字にさする。便通が良くなるようにとのまじないだ。
のの字のさすりが、便秘気味の方の気休めにはなった。 」
高齢になって来るとだんだんと運動量が減少して、腸の動きも弱くなり便秘気味になってくる。
入所者の中には便秘気味であるが、まだ下剤を服薬していないひともいる。その一人にFさんが
(93才女性)いた。Fさんは、ほとんど車椅子で過ごしている。自分で車椅子をトイレへまで
動かす。介護職員をコールして、ズボンや紙パンツをおろし便座に座る。ここから自力で排便を
開始するのであるが、なかなか便が出てこない。その内に鳴き声のようなうめき声が聞こえてきた。
たまたまトイレを通り過ぎる私にうめき声が聞こえてきた。私を見つけたFさんは「腹押してんか」
という。私はFさんの下腹を押す。Fさんは腹に力をいれて排便を試みる。その内に私はFさんの
腹を、のの字に押さえ回した。すると羊糞のような小さな塊(泥墳)が出てきた。Fさんは肛門部
で排便を感じて「でた」の発声である。少し排便できたことで納得され、トイレはおしまいである。
排泄チェック表に、数字の1(排便少量の意味)を記入した。
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更新来歴 追加 続介護よろず話 >>有償ボランティア・スケッター>>
起稿 読む 2024.01.13
更新来歴 追加 続介護よろず話 >>シーツ・タオルの役割>>
起稿 読む 2024.01.30
更新来歴 追加 介護ニュースのぼやき談2024>>ホームヘルパーの賃下げ危機>>
起稿 読む 2024.03.02
更新来歴 追加 介護ニュースのぼやき談2024>>介護保険料は右肩上がり>>
起稿 読む 2024.04.10
「ピンピンコロリの潮時へリンク先」ボタンを選択押下し、該当HP内の見出より検索ください
更新来歴 追加 手術後また手術>>術後経過・復帰> 掲載。 掲載日 2021.08.14
2021.08.14をもって投稿は終了しました。
「アルトハーモニカ鐘ヶ江の広場へリンク先」ボタンを選択押下し、該当HP内の見出より検索ください
デモ演奏ページにあります
更新来歴 追加 じょんから女節、 津軽平野・与作を登録 2018.12.05
更新履歴 追加 一円玉の旅烏を登録 2019.02.27
更新履歴 追加 オリーブの首飾りを登録 2020.01.05
更新来歴 追加 能楽堂でハーモニカ演奏 一挙公開しました。 2022.09.16
「君待つびわ湖の広場へリンク先」ボタンを選択押下し、該当HP内の見出より検索ください
更新来歴 追加 デモ歌唱、演奏>>ハーモニカと歌声 2020.01.05