神戸新聞NEXT 2021.05.08 19:36配信を読んで

見出し:133人感染の大規模クラスター 1施設で25人亡くなった背景

 記事概略:

 神戸市は5月7日、同市長田区の介護老人保健施設(通称:老人病院)のS施設で、4月14日以降、入所者97人、職員36人の計133人が新型コロナウィルスに感染する大規模クラスター(感染者集団)が発生し、うち70代以上の入所者25人が死亡したと発表した。

 その背景は、感染力が強く重症化しやすい可能性がある変異株の流行、介護施設特有の環境、医療逼迫といった条件が重なったことにあるとみられる。

 S施設には4月16日時点で、133人が入所、うち61人は認知症患者だった。そのため、マスク着用の徹底が難しく、アルコール消毒も十分でなかった。職員の入所者への介助は身体接触を伴うほか、入所者が集う食事の場や、職員が使う休憩室でも感染リスクがあったとみられる。神戸市の保健師に加え、厚労省の地域支援班の医師らが施設の入り、連日助言や指導をしていた。だが、重症者への対応は困難で、職員の人数も不足していたとみられる。

 

 

神戸新聞NEXT 2021.05.08 18:30配信

 職場にクラスター発生しても休めず、介護従事者の窮状「自己犠牲で成り立っている」

 新型コロナウィルスの感染が拡大する中、身体接触が避けられない労働環境にあっても業務を続ける介護従事者から、窮状を訴える声が、神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」などに寄せられている。PCR検査は自己負担、自宅待機は有給休暇、職場にクラスターが発生しても休めない。入院できず自宅や施設にとどまる要介護者の感染も拡大する中、公的な支援が進む医療従事者らと比べ「介護は二の次だと見捨てられているようだ」とのため息が漏れる。

 

神戸新聞NEXT 2021.05.09 22:17配信

見出し:入所者の家族の声:「ただ祈るしか」 

 

読売新聞 2021.05.22 13:34配信

見出し:マスク外して歩く入所者、防護服なしで立ち入る職員も・・施設は「機能不全」

    S施設の支援に入った医師が取材に応じ、施設が機能不全に陥った実態を証言した。

概略:

 職員次々感染。マンパワー不足で施設内の指揮系統が働いていなかった。かなりの職員が感染で休み、指揮する幹部も現場にいらないといけない状況。普段からぎりぎりの人数で運営しており、外からの応援もなく健康な職員が休まず頑張るしかなかった。最初は防護服の着方や着る場所が浸透していなかった。

 

 優先順位が低く。神戸市のコロナ病床ほぼ連日満床。S施設は医師3人と看護師16人が常勤しており、市保健所は入院の優先順位は低いと判断し、結果的にS施設内で次々に死者が出た。

 

 高齢者施設特有の事情。①入所者の半数程の約60人が認知症で、マスクを外してフロア中を行き来し、レッドゾーンに出入りしていた。②入所者は持病で日常的に発熱がある人も多く、感染の兆候をつかむのがむつかしい。③寝たっきりの患者を抱きかかえるなどして献身的に介助する職員に次々にうった。

 

 事前の備えを。自治体がコロナ病床を増やすことが第一である。介護施設としては、感染が発生したらゾーニング(区画分け)をどうするか決めておく。消毒液などを備蓄する。防護服も着方を練習しておく。感染を想定した訓練をしておくこと。

 

 

 ぼやき(私見)

  掲載の記事を読んだが、なかなかすぐには自分の考えがまとまらなかった。コロナ対策はどの施設も実施している。クラスターを発生させた施設が悪いのではない。当然どの施設も予防のための準備、訓練、対策を行っている。ただ、クラスターを発生させた施設はその根本原因がなにであって、その再発防止策は何であろうかと公開すべきである。現状が大変であるだけでは意味がない。他の施設が参考になるような再発防止のアイデアや施策の取材、掲載を望む。

 私は介護現場におけるインフルエンザとコロナとの対策の相違点を見いだせずにいる。コロナの特徴は①潜伏期間が長い、②病状は微熱である、③治療の特効薬がないであろう。認知症の方々がマスクをしないのは、 

介護施設内でインフルエンザが流行しても以前から同様であった。昨今の冬は、介護施設でインフルエンザによるクラスター多発・死亡事故の掲載記事が見当たらない。これは介護現場がコロナ対策を実施している成果と思う。                             起稿 2021.06.01