2019年1月22日 朝日新聞の朝刊を読んで

 兵庫県の養護老人ホームH、インフルで71~99才の入所者が21日までに7人死亡 との見出しである。記事内容を読むと、1月8日に職員1人がインフルを発症。1月21日までに、入所者は165人中62人、職員28人中12人が発症した。21日に兵庫県が発表した。

 県(健康福祉事務所)は感染症法に基づき、11日と17日に立ち入り調査を実施し、集団感染の経緯や死因などを調べている。県は5人の死因について、インフルエンザの直接、間接的な影響を否定できないとしている。養護老人ホームHは、最初の死者が出た11日に県に集団感染を報告。県は未発症の入所者にも、抗インフル薬を予防投薬するよう助言した。養護老人ホームHに対応は概ね対策が講じられているとし、21日まで事案を公表しなかった。

 一方、養護老人ホームHは、入所者165人は全員が個室で生活、昨年、11~12月にインフルの予防接種を受けている。集団感染の発生後は、感染防止マニュアルに基づき、感染拡大の防止に努めた。経験したことのない勢いで感染が広がったと説明している。

 

 追記1 22日、昼のTVニュースを見ていたら、京都府及び、滋賀県でも、インフルで死者が発生と報じていた。普段は記事やニュースにもならない事案が、一気に、いぶり出されたようである。

 

 

 ぼやき(私見)

 亡くなられた方々のご冥福を祈ります。発症の方々の完治を願っています。現場の方々、頑張って下さい。

 

 本事案は介護保険に該当しないが起稿する。特別養護老人ホームは介護保険が適用され、職員の配備が規定される。ところが養護老人ホームは介護保険が適用されない。即ち介護サービスを必要としない、日常生活動作に介助を必要としない、自立できている、養護が必要な老人が入所している老人福祉施設である。よって、職員の配備基準は特別養護老人ホームと異なる。しかし、老人が各施設内(食堂、浴場、団欒・居間等)で、集団生活していることは同じである。よって本事案も介護事案として、つぶやきたいのである。

 

 当該施設と医療機関・看護師との連携が記事に明記されていないので、どちらが悪いとはいいがたい。県は未発症者にも、抗インフル薬(タミフル)を飲ませるように、助言したとしている。一方の施設側は、助言であり、タミフルを未発症者には飲ませていない。通常の家庭では、誰か一人インフルになった場合、発症者には、タミフル等の薬を服用させるが、家族全員に更なる予防のためにタミフルを服用させない。家族の全員がタミフルを服用したら、家族の誰が発症者を看病するのか。家族全員が寝込まなければならない。何のため、11~12月にインフルの予防接種をしているのか、わからなくなってくる。

 集団生活をしている老人福祉施設は、最悪の場合を想定して健常者にも薬を飲ませろと、言っているようなものだ。薬は飲まないで済むなら、飲みたくないものである。      2019年1月22日  起稿

     

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2019年1月23日 朝日新聞の朝刊を読んで

 17日、県が再度立ち入り検査、予防投与の有無を確認。施設側は「(職員に)投与した」と回答。県の

担当者は、「職員と入所者に実施した」と解釈。ところが18日、県が施設の嘱託委医から事情を聞き、入所者へ予防投与されていないことが判明。県はあらためて助言。施設側は19日になって、入所者へ予防投与を始めたという。マスコミは入所者へ薬の予防投与が遅れたと報道している。

 23日、厚生省は老人福祉施設へインフル予防策(手洗い、うがい、マスク利用)の徹底を呼び掛けている。

 

 ぼやき(私見)

 入所老人の未感染者へ予防投与するための費用は、誰がもつのですか? 県が費用を負担するから投与せよではない。県は費用を出しませんが、投与した方が良いと思いますでしょう。

 予防投与のための医療費や薬代は、健康保険の給付がない。全額個人負担である。65才以上者には地方行政機関が大きく援助するので、インフル の予防接種を受けるのだ。施設責任者が未感染入所者に全額自費でタミフルの予防投与を受けなさいと、指令できますか? 

 私だったら何のために予防接種しているのか、近くにインフル感染者がいるということだけで、さらに何故予防のためタミフルを自費で飲まなければならないのか、私は飲まないというよ。

 施設職員には未感染入所者への拡散防止にため、施設責任者としての業務命令でタミフルの投与を指示できるであろう

 このように考えると、行政機関が老人福祉施設に対して、非常事態宣言を出し、全額費用を負担して、未感染入所者に予防投薬を指示するしかないと思う。             2019年1月23日 起稿

 

2019年1月28日 神戸新聞NEXTを読んで

 インフル集団感染 職員が媒介? 淡路の施設

 インフル発生者数を日ごとにグラフ化して表示。1月8日の職員(看護師)発症から、13日までの6日間でほとんどの人が発症している。11日には死亡者が出ている。物凄い速さで拡散していることが、一目瞭然に理解できる。施設長の言葉通り異常な事態である。

 さらに発症者は施設の2階に集中した。2階の入所者84人中、54人(約7割)が感染し、死亡者7名は全て2階の入所者である。フロアーでは職員・看護師らが感染者と非感染者の部屋を行き来していた。

 神戸市内老人ホーム施設長の談話として、感染者に対応する職員を固定し、他の入所者とは接触させない。感染者が出た時の人(職員)のやり繰りにはいつも苦労すると記載している。背景には人出不足としている。

 

 ぼやき(私見)

 神戸新聞には、討議すべき課題(人手不足・低賃金)を、やっと提起・掲載してもらえたと思っている。

 感染者を対応する職員は固定化する。看護師を固定化することは、至難の業であろう。老人施設は病院ではない。介護施設の基準に達する範囲で対応している。施設側は、採算を考慮の上、看護師のローテーションを組めるよう、複数人の看護師を採用している。この限られた施設の看護師数で、インフル対応の看護師を固定化することは非常に困難である。このような非常事態に無償・有償にかかわらず、緊急的な応援をしてくれるボランティア精神にあふれた看護師さんの出現を期待する。

 

 景気が悪い時期(安倍ノミック以前)、介護現場の実習にきた学生に、卒業後は、介護施設に就職しますかと聞いたことがある。その学生は、景気がよければOLになりたいと回答した。不景気の時期にでさえ、低賃金ということ等で、介護職員の採用は厳しかった。近頃は中小企業も人の採用をしたいといっている。介護施設はあるが、職員を採用できずに、入所部屋が空いている現状である。介護職場は低賃金といわずに、介護に働く生きがいを持った人がほしいものだ。                2019年1月28日   投稿